iPhone5:auも発売 契約獲得競争に影響 [iPhone5]

iPhone5:auも発売 契約獲得競争に影響 米アップルが戦略転換

米アップルのスマートフォン「iPhone」=中村琢磨撮影
米アップルのスマートフォン「iPhone」=中村琢磨撮影

 KDDI(au)が米アップルのスマートフォン(多機能携帯電話端末、スマホ)「iPhone(アイフォーン)」を発売する方向で調整していることが22日明らかになった。アップルが10月中旬にも世界で投入する見込みの新機種「アイフォーン5」について、年内にも日本で取り扱えるように調整している。08年のアイフォーンの日本初上陸以来、続いてきたソフトバンクモバイルの事実上の独占販売体制を崩すもの。背景にはアップルの販売拡大戦略もあり、KDDIの参入は通信キャリアー間の契約者獲得競争に加え、国内端末メーカーにも影響を及ぼしそうだ。【乾達、竹地広憲】

 アイフォーンの独占的な販売は、近年の契約者数を伸ばしてきたソフトバンクの快進撃の原動力だ。同社は08年7月のアイフォーン発売から今年8月までの38カ月間で35回も月別純増数(新規契約から解約を差し引いた数)首位を獲得しているが、業界関係者は「純増数の7割以上がアイフォーン」と指摘する。

 シェアや通信網で勝るNTTドコモやKDDIを押しのけ、日本でのアイフォーン独占販売権を獲得したソフトバンク。背景には、同社の孫正義社長と米アップルのスティーブ・ジョブズ前最高経営責任者(CEO)との友情関係があるとの逸話もあり、ユーザー拡大に一役買った。

 画面を指でなぞるだけで簡単に音楽から情報、映像まで豊富なアプリケーションが使えるアイフォーンは、日本でのスマホブームの火付け役ともなった。対抗策を迫られたライバル他社はドコモが昨年4月、米グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」を搭載したスマートフォン「エクスペリア」を発売。KDDIも同11月にアンドロイド端末「IS03」を投入した。しかし、KDDIは出遅れが響き、ソフトバンクのアイフォーンに契約者を奪われるケースも目立った。8月末の携帯契約数シェアを見ると、ドコモは約48%だが、KDDIは27%強で、ソフトバンク(21%強)に猛追されている。

 昨年12月にKDDIトップに就任した田中孝司社長は「チャレンジ精神を取り戻す」として、無料通話ソフト「スカイプ」を標準搭載するなどスマホ強化を急いできた。端末では、アンドロイド端末に加え、8月には「ワード」や「エクセル」が使えるマイクロソフトの「ウィンドウズフォン」OS搭載スマホを発売。これに加えた秘策がアイフォーン5の投入だと見られる。

 米アップルは当初、「1国1キャリアー」でアイフォーン事業を展開したが、今ではほとんどの国で複数キャリアーに販売を認める体制に転換しており、日本でも独占販売の見直しを探ったと見られる。

 ◇ソフトバンクに逆風

 アイフォーン5販売が実現すれば、KDDIにとっては、ソフトバンクに奪われることが多かった若者層などの流出に歯止めがかかる期待がある。逆にソフトバンクには逆風が予想される。「他社に比べてつながりにくい」「通信エリアが狭い」と通信インフラの弱点が指摘されてきただけにユーザーはアイフォーンを使えるなら通信品質の高いKDDIに乗り換えようと考える可能性があるからだ。

 孫社長は今後2年間で基地局建設などの通信インフラ強化に1兆円の投資を宣言。「もうつながらないとは言わせない」と強調するが、どこまでユーザーをつなぎ留められるか。端末の割引や通信料など価格競争の防戦を強いられれば、利益が圧迫されかねない。

 一方、ドコモは高速・大容量の次世代通信サービス「LTE」などの回線性能の高さをアピールする。ただ、ユーザー拡大にはゲームに特化した「エクスペリア・プレイ」など特徴あるアンドロイド端末をいかに増やすかが課題。

 KDDIのアイフォーン参入はシャープや東芝など端末業界にも大きな影響を与える。KDDIは年間1000万台以上の新型端末を販売するが、米アップルがアイフォーン販売にノルマを要求してくれば、その分、国内メーカーの端末がしわ寄せを受ける。


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